◆【ある家族の話】期待して落ち込んだこと、得たこと

ある家族の話です。

その家族は5人家族。

働きもののお父さん、良妻賢母のお母さん
長女と次女と長男は各2つ違い。

次女と長男は成績優秀で
長女の成績はいつも後ろの方でした。

次女と長男は素直で従順おとなしいタイプ。
長女はおしゃべりで行動的。

その他にも長女は独創的なので
家族の中では少し変わりものとして
皆と違う空気をはなっていました。

大人になって、子ども達はそれぞれの家族を持ち
家を出ますがたまに集まった時も
長女だけは変わらずどこか噛み合わない雰囲気のままでした。

なんとなく、自分は混ざりきれないなぁと感じ続けています。

例えば家族の誰かに何か特別なことがあっても
長女だけが後から知ることになったり。

長女が、ふらっと実家に寄ると
久々に忙しい父と皆で集まって食事会をしようとしているところだったり。

長女は、そのたびに自分だけ浮いているような悲しさ
寂しさ、イライラを感じるのでした。

以前も、たまたま寄った実家では
長女以外で皆が集まり食事の用意を次女がしていました。

悪気があるわけではないけれどジワジワ感じる疎外感。

長女は自立的で昔から実家に頼ることをしてきませんでした。
(正確には、色々口出されるのが嫌なのと
皆と違う空気感や当たり障りなく振る舞うのがしんどかったから)

父や母は、自然に一番近くにいる妹に頼り
妹は甘え、長男は心の拠り所となっていきます。

「あの子はちょっと違うから」
親、きょうだいにとっては
そんな距離感や付き合い方が自然だったのかもしれません。

長女からしても自分を押し殺してまで
皆に合わせるのは苦痛で仕方ない。

それならば、頼らず何も言われず、好きなように我が道を歩く、
そんなほどよい距離感の方が互いにいい。そう思っていました。

ただ、そうは思っても期待するんですね。
‥‥そりゃそうだわさ

長女の「こうであってほしい」という家族や親子関係や
きょうだい関係にいくつになっても期待をしてしまう。

同じように接してほしい。
何でも、顔色を見ずに話したい。
頼り頼られたい。自由でいたい。

長女は大人になってから
8年間、鬱や様々な精神症状を抱えました。

何故自分がそうなったのかが疑問でなんとかしたくて
必死で勉強をし、その原因の一つが幼少期の親子や家族関係だと知り
愕然としたと同時にほっとするのです。

そして長女はやがて心理カウンセラーになり、講師になり
現在は起業をして日々試行錯誤しています。

長女が今ここで、思うこと。

この家族だったから心理カウンセラーや講師の道を選んだ。

この家族だったから期待することと、期待通りにならないことの
折り合いをつける心やコミュニケーション力を身につけた。

この家族の一員だったから今がある。
そしてやっばり家族を愛おしく思う。

だから悲しいし、寂しいし、怒りや苛立ちも感じるんだと。

さてさて、これは長女から見た家族のお話。

きっと、この家族のお父さんやお母さん
きょうだいから見た話は登場人物は同じでもストーリーは違うはずです。

家族や人を変えることはできないけれど
自分の在り方や関わり方は変えることが出来ます。

人の数だけ家族のストーリーがあるよね。

長女は穏やかな気持ちでこのコラムを書いています。
最後まで読んで頂きありがとうございました。